エクスキューズ・ミー

「言い訳」をテーマに書いています。

「つまらない話」への言い訳

「つまらない話なんだけどさぁ」から始まる話に面白いオチをつけなさい。
「面白い話をするよ」から始まる話に面白いオチをつけなさい。

 前者の方が圧倒的に有利だろう……。後者は余程の自信があるのか、愚かなのか。
 そして今回は、そのどちらでも無い誰かについてのお話。


「生きていて楽しいですか?」
 頭の中の誰かは唐突に話しかけてくる。
「楽しくなかったら生きてちゃ駄目なんですか!?」
 頭の中の私は応える。
 こんなことを日常の中で繰り返している。日常の中で繰り返しているけれど、私の頭の中でのことなので、現実の誰にも知られることは無い。


「生きていて楽しいですか?」と、本当は誰かに言われたいのだ。現実世界の誰かに。
「楽しくなかったら生きてちゃ駄目なんですか!?」と、本当は誰かに言いたいのだ。
 そこまで口にして、会話がどう続いていくのか。自分の望むような流れが生まれるのか。
 とりあえず、今まで生きてきてそのようなことは一度も無かった。それはそうだ、台本の無い即興漫才のようなやり取りが出来る訳が無い。
 そのストレスをぶつけるように、霧散させるように、解消するために。好きな言葉をノートやモニターに散りばめて楽しんでみたりする。頭の中の誰かはいつだって望む言葉をくれる。


「面白い話をするよ」と、現実の誰かが私に話しかける。本当に面白い内容なのかは別として、私はきっとそれを楽しく聞くだろう。頭の中の誰かが発する言葉を、現実の誰かはいつだって軽く飛び越えていく。
 飛び越えていく途中や着地の後、私はそこに己の願望を見付ける。そしてまた、ペンを手に取る。


「つまらない話なんだけどさぁ」から始まったこのブログに相応しいのかどうなのか、とりあえずオチはございません。見失った着地点は、未来に出逢う誰かさんと頭の中の誰かさんに託します。では、また。