「正しさ」への言い訳
正しさを武器にしてはいけない。
そんな言葉を聞いたところで、それじゃあ何を武器にして戦おうか?
「戦う」という前提が間違っています、とか?
それならば言い換えましょう。何を盾にして守ろうか?
何かを守るために、何を使おうか?
正しさと正しさが衝突して世界が終わるとして、それを嘆くのも笑うのも自由です。悲しむのも怒るのも自由です。
何かを失って正しさに気づいたところで、その瞬間の正しさは永遠に失われてしまいます。失われた正しさをかき集めて、わたしは今日も信号が青に変わるのを待っています。
正しさを武器にして、わたしは人を殴ります。
正しさを盾にして、わたしは人を守ります。
正しさに怯えて、わたしはディスプレイを閉じます。
誰かが決めたルールを守って、破って。
自分で決めたルールを破って、守って。
知らない振りをして間違えて。知らないままで間違えて。間違えたことに気づかなくて。間違えて、知って、その上で破り続けて。
正しくあろうとするほどに、狂っていくわたしです。
正しさを武器にしてはいけない。
正しさを盾にしてはいけない。
正しさは正しく使われるべき、ですか?
正しさを正しく扱う術を、ご存知ならば教えてください。
正気を保てぬ夜の中、正解を求めています。
いや、そんなものよりも。
正しくない世界を生きていく不正解を求めています。