エクスキューズ・ミー

「言い訳」をテーマに書いています。

「記憶を失うレベルの飲酒」への言い訳

「適量は身体に良い」「毎日呑むのは依存の始まりだ」。
相反する意見が並んでいる。
どちらが正しいのか……いや、きっと調べればすぐに分かるだろう。
しかし、調べたところで、調べた人間が生活を改めるのか。
どの時代にも飲酒によって身体を壊す人間は一定数存在する。

などと、医師か専門家の意見ようなことを述べたいわけではない。
最近の自分の酒癖の悪さについて反省するのが今回のテーマだ。
以前は一定の量を呑むと眠ってしまっていた。家以外の場所で呑む場合は、しっかり帰宅してから床に就いていた。
呑んでいる間は普段と変わらないテンションで、記憶を失うようなこともなかった。
まあ、酔っても人に迷惑を掛けない人間であったことは認めてほしい。

迷惑を掛けない人間であった。
過去系である。

最近になって、記憶を失う技を身につけてしまった。
いや、「技」とでも呼ばないと気が滅入ってしまうのだ。滅入った方が良いのだろうが。
一定量を呑み、饒舌になる。訊かれてもいないことを話す。そして翌日には何を話したのか憶えていない。
恐ろしいことである。酔って記憶を無くす、笑い話として耳にすることもあるが、自分のこととなると笑うどころではない。
反省。このままではいけない、量を減らさないと……。
そして数日は控えるように心掛ける。
しかし、数日後にはまた記憶を失う。

恐ろしいと思いながら、なぜ呑んでしまうのか。
きっと楽しいんだろう。後で恐ろしくなることも含めて、楽しんでしまっているのだ。
話した内容は憶えていなくても、楽しく話したという記憶は残っている。
話す相手が笑ってくれている間はまだ大丈夫だ。そう自分に言い聞かせて、今夜も空き缶を重ねていく。
こんな言い訳でも呑み込まないと、呑めやしない。