エクスキューズ・ミー

「言い訳」をテーマに書いています。

若者への言い訳

未来を見つめる瞳の輝き、流行の最先端を担うファッション、ああ、若者にはとても敵わない、といった話ではない。

狩られる!と思ってしまうのだ。
何故だろう……。
因みに狩られたことはない。前世か。前世なのか。

私はどちらかと言うと大人しいタイプの若者だった。
そして内弁慶でもあった。
なかなか面倒な奴だった、と他人事のように思う。
そして今でもそのキャラクターを変えられていない。面倒な奴である。

独りで夜の街を歩いていて若者を見つけた瞬間、シミュレーションが始まる。
声を掛けられたらどうしよう……。
手持ちの武器を確認する。ポケットの中を探ったところで、飴の包み紙くらいしか入っていない。
走って逃げても必ず捕まる。足が遅いことに定評のある私だ。
最終的に「大声を出す」という結論に至る。
よし、これでいこう。
考えを悟られぬよう、早足にならないように気をつけながら若者と擦れ違う。
擦れ違った。
ふう、なんとか乗り切った……。


書いていて悲しくなった。

問題なのは、「若者」の幅の広さである。
小学生ですら怖いのだ。
五人程で歩いている小学生を見て「囲まれたらどうしよう」などと怯えている。
本気だから手に負えない。


結局、劣等感なのだろう。
勝手に自らを劣っていると思い込んで、しかもそれを甘受してしまっているのだ。
実際に劣っている部分もあるだろう。しかし、決してそれが全てではないはずだ。

見知らぬ若者と擦れ違う度に「敵わない」などと怯える必要は無い。
彼らを「敵」だと思っていたのは、私の方じゃないか。