エクスキューズ・ミー

「言い訳」をテーマに書いています。

「必要の無い知識を蓄えること」への言い訳

ケラエノ、エレクトラ、タイゲタ、マイア、ステロペ、メロぺ、アルキオネ。
プレアデス星団の七つの星の名前である。
十年以上前に読んだ本に書かれていたのだが、未だに憶えている。
そして、これまでの人生でこの知識が生かされたことは無い。皆無だ。

当時の私は「多くの人が知らないことを憶えていると格好いい」と思っていた。
漫画やライトノベルに出て来る呪文や科白、円周率、画数の多い漢字……それらの知識を活用する機会は今のところ訪れていない。今後も訪れない可能性が高い。
かと言って、忘れることも出来ないのが悩みの種だ。

脳内のこれらの知識を蓄えている部分を、他の事柄を憶えるために使えないものか……。
いや、またどうでもいいことを上書き保存してしまうかも知れない。

散々否定する風に書いてきたが、書いている内にそれらを憶えようとした当時の感情を取り戻してきた。
ケラエノ、エレクトラ、タイゲタ、マイア、ステロペ、メロぺ、アルキオネ。
星の名前の由来も、それに纏わる神話も忘れてしまったけれど、まるで呪文のように憶えている。

使い道など無くていいのかも知れない。
憶えている、ただそれだけで、格好つけていたあの頃の私に触れられるのだから。