エクスキューズ・ミー

「言い訳」をテーマに書いています。

「空を見ること」への言い訳

仕事帰りに駅へ向かうため、陸橋を渡る。
ふと見上げると、自分が空に近づいたように錯覚する。
周囲に樹木や高い建物が無いからそう思うのだろうが、その瞬間が好きだ。

空を見上げて何を思うのか。
決して届かないという諦念か、いつか届くという希望か。あるいは届かせるという決意か。
私はただ、ぼんやりと見上げるだけだ。そこに感情の動きは無い、と思う。
では、どうして私は空を見上げるのか。
たぶん、俯きたくないからだ。
陸橋の両端にはゴミが散らかっていて、それを見ると悲しくなってしまう。
悪意無くポイ捨てをする人間が世の中には沢山いるということを見せつけられて、自分を否定されたような気持ちになる。

空を見上げる。
オレンジ色に染められた雲が、ゆっくりと流れていく。
美しい、と思ったのかもしれない。
空は何も言わないまま、静かに夜を始める。