エクスキューズ・ミー

「言い訳」をテーマに書いています。

「夜更かし」への言い訳

不眠症に悩まされている者が多いと聞く。
斯く言う私も数年前まではその中の一人だった。

近頃は、夜になると眠くなってしまう。
悩みの一つだ。贅沢な悩みなのかも知れない。
帰宅して夕餉を終えると、もう瞼が重い。
それでも睡魔に逆らうように、無理をして起きている。
起きているけれど、何ら生産的な活動は出来ない。眠いのだから当然だ。

「まだ眠りたくない」。
駄々を捏ねる子供のようである。
翌日に備えてさっさと寝てしまえばいいのに、どうして夜更かしをしてしまうのか。

悔いているのだ。
今日も自分は何も残せなかった、などと思ってしまう。
今の自分が就いている仕事にどんなに励んでも、この気持ちは無くならないだろう。
金銭を得る、その為だけに働いているからだ。

「好きなことは仕事にしない方がいい」。
そんなことを言う者がいる。
理由を聞いて肯ける部分もあるのだが……それでも私は、好きなことを仕事にしたいと思う。

嫌々働いて大きな対価を得るか、好きなことをして小さな対価を得るか。
あまりにも簡単にまとめてしまったが、私はどうやら後者を選びたいようだ。
私にとっては、仕事内容そのものに遣り甲斐があることが、何より大切なのだと思う。

また夜が来る。
今日の我が身を振り返って、後悔して、明日が来ることを恐れて。
更けていく夜に連れて、心も暗くなっていく。
思い切れるほど若くはないし、強くもない。


いつの間にか眠ってしまったらしい。
欠伸を噛み殺して、重い身体を起こす。
カーテンの隙間から、新しい朝日が差している。
今日の私は何かを残せるだろうか。
明日の私に何かを渡せるだろうか。