エクスキューズ・ミー

「言い訳」をテーマに書いています。

「誕生日」への言い訳

誕生日というものに違和感を覚えたのはいつからだろう。
そもそもはカレンダーへの疑問だった。どうして一年は十二ヶ月なのか、一週間は七日なのか……。
調べれば答えは出るのだが、自分の求めているものはそれではなかった。
というか、答え(のようなもの)を誰かに差し出されたくなかったのだ。

母体から産まれる瞬間に決まる誕生日。
自らの意思で決めることが出来ない数字。
そんなものは幾らでもあるけれど、一年に一度、その日がやって来る度にもやもやとした疑念は浮かぶ。

深く考え過ぎているだけだ。あるいは的外れなことを考えているだけだ。
既に決まっていて、それに不都合が無ければそのまま受け入れてしまえばいい。
そんな数字なんかよりも、もっと疑うべきことはある。
一年が何ヶ月だろうと、一日が何時間だろうと、生きているのは今、この瞬間だ。

そんな風に思えたら楽なのだろうけれど……疑うばかりで、そこから何かを見つけないまま纏めようとしてしまう。
まぁ、誕生日は基本的に嬉しい日だ。
だから、今回は楽しく終わらせよう。

誰かの誕生日には、おめでとう。
自分の誕生日には、ありがとう。
蝋燭を吹き消して、クラッカーを鳴らして。
生きてきたことに、生きていることに、生まれてくれたことに、出逢えたことに、最大の感謝を。