エクスキューズ・ミー

「言い訳」をテーマに書いています。

「擬人化」への言い訳

「擬」という漢字を訓読みすると「擬(もど)き」だ。
そうか、擬人化とは「ひともどき化」なのか……。

人間以外の生き物から電車、果ては文房具まで、今ではありとあらゆる物が擬人化されている。擬人化されていない可能性のある物がぱっと浮かばないくらいだ。

なぜ「擬人化」するのだろう。
「萌え」られるようにするため、というのがあるが、それを更に砕いて言うと「親しみやすくするため」なのかも知れない。
好きな生き物やお気に入りの文房具などを「擬人化」することによって、まるで同じ人間の友人であるかのように思えるのだ。

「擬人化」とは逆に、人間を人間以外の生き物に喩える「動物占い」というものがある。
これは「擬人化」とは目的が違っていて、人間を他の動物に当てはめることで性格をシンプルなものに分けようという試みだ。この場合、人間を動物に喩えて「萌えよう」という目的は無い(基本的には)。

どうやら人間は、人間以外の何かを愛するためにはその「何か」に自ら近づくよりも、その「何か」を自分に近づける生き物であるらしい。

ところで、コスプレについて。
コスプレは自らが憧れている何かになろうとする試みである。
唯一、人間が行う「萌える擬態」だ。
純粋に楽しんでいるであろう人々を「もどき」などと揶揄するのはやめておきたい。

「擬」という漢字に「疑う」という言葉が入っていても、「擬人化」も「擬態(コスプレ)」も愛のある行為であることに疑いの余地は無い。